小学校高学年の頃⑤
小6の夏休み。
この時期は中学受験生にとって勝負の分かれ目であると言われる。
当時の僕は全くそんな感じではなかったんだけどね。
塾では当然、夏期講習が行われる。
なお、夏期講習の期間中、算数はいつもの渋谷先生ではなく、見たことがない先生が担当であった。

白いセーターを着た、見るからにイケメンの男性講師である。
ただ表情はなんとなく冷淡な感じで、個人的にあまり好きなタイプではなかった。
初回の授業は特段、問題なく終了。
だが、2回目の授業で事件は起きた。
白セーター先生が前回の授業で出した宿題の解説をしているときに、僕の2つ後ろに座っていた“宮田くん”を当てたのである。
その際、宮田くんは「わかりません」と答えたのだが、先生は彼の席まで歩いていった。
そして、宮田くんのテキストを見るや否や、「何もやってないじゃねーかよ」とキレはじめたのだ。
宮田くんは宿題を何もやっていなかった。
彼が正直に「はい、宿題やるの忘れました」と言うと、先生は一言だけ言った。
「立て!」
宮田くんが立ち上がると、彼の頬に先生の平手が飛んできた。
「パン!!!」
ものすごい破裂音が教室中に響き渡る。
さらに先生は続ける。
「立て!!」
先ほどより声が大きくなり、再び宮田くんは強烈なビンタをお見舞いされた。
手加減など一切していない。大人の男性の本気ビンタである。
見ると、彼の頬は赤く腫れあがっている。
この光景を見て、僕は震えていた。
なぜか?
僕も宿題をやっていなかったからだ。
(神様どうか助けてください)
授業中、僕はずっとそう祈っていた。
なんとか授業終了。
僕は運よく当てられずに済んだのだ。
だが、この時の恐怖は今でも忘れることはできず、脳裏に深く刻まれている。
ちなみに次回の授業からは真面目に宿題をやっていったことは言うまでもない。
(白セーター先生の授業に限ったことだけどね、、、)
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