小学校高学年の頃③
小学校5年生も終わりに近づいてきた、ある日。
僕は塾で理科の秋山先生の授業を受けていた。
時刻は18時50分。
授業終了。
(あーやっと退屈な授業が終わったー。早く家に帰ろう)
そう思っていると、教室に中村先生が入ってきた。
中村先生は生徒から“血も涙もないサイボーグ”と言われ、恐れられている女講師である。
「ガクトン君は前に出てきてください」
突然のことで状況が把握できないが、中村先生がなぜか僕の名前を呼んでいる。
(一体なんだろう・・・)
先生の方を見ると、何やら紙を持っているのが見える。
(あれは・・・テストの成績表だ・・・)
どうやら、ここ最近、塾を休みまくっていたせいで、成績表を受け取る機会がなく、中村先生がそれを持ってきたらしい。
恐る恐る教室の黒板の前へ向かう。

中村先生は言った。
「ガクトン、お前、行ける学校ないよ。どうするつもり?」
僕はうつむいて成績表を受け取ると、半べそをかきながら教室を後にした。
最寄り駅のバスの停留所につくと、とめどなく涙があふれてくる。
悔しくて悔しくて仕方なかった。
塾のみんなは授業についていけてるのに、僕にはそれができない。
先生の言っていることを何一つ理解できない。
もしかして僕は頭に障害があるのではないだろうか?
次の日の夕方、僕は母親に体調が悪いから塾に行きたくない、と言った。
だが、母親はそれが嘘であると見抜いていた。
母親に強い口調で塾に行くように言われると、僕は糸が切れたように大泣きした。
勉強が難しくて、授業についていけないこと。
先生にこのままでは行ける学校がないと言われたこと。
これらを正直に話したのである。
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